「生者の行進」は、弟を交通事故で亡くした高校生、吉川泪(ヨシカワ・ルイ)が主人公です。
弟は亡くなったのですが、なぜか泪のそばに幽霊としてとどまり続けます。それだけではありません。ある時から泪は、悪霊まで見えるようになってしまいました。
幼なじみの女の子・まどかに悪霊が取りついたことがきっかけで、泪は現実と立ち向かい、まどかを救おうと奮闘するのです。
この記事では、作品のあらすじと、泪の能力、キーパーソンであるまどか&トモキについてお話していきます。
生者の行進はどんな話?
この作品は、1人の高校生・吉川泪(ヨシカワ・ルイ)が大切な弟を交通事故で失ってしまった事から始まります。弟の突然の死を前に、喪失感でいっぱいだった泪でしたが、その日から幽霊が見える様になってしまったのです。
母親は弟の死によって4年間も塞ぎ込んだままで何も出来ずにいました。そして、死んだはずの弟は、自分のそばにいつも寄り添うのです。泪は奇妙な生活を送る事になりました。
喋りかけても何も答えず、何も話してくれない弟の霊にほとほと困り果てながらも、なんで自分は霊が見えてしまうのだろうと悩んでいました。
しかも、霊となった人に話しかけても言葉は返りません。また時に言葉を発する霊がいても、それはそこに残された残留思念でしかなく、救う手立てなどはありませんでした。
しかし、そんな事を誰にも相談する事も出来ず、これからもずっと1人で霊と向き合っていかなくてはいけない。
そんな憂鬱な悩みを1人で悩みを抱えていたある日。泪は、バイト先であるコンビニで、悪霊に取りつかれた女子高生を目撃してしまいます。禍々しい口を開けて彼女を飲み込もうとする悪霊。
めっちゃグロかったです。この悪霊。相当な悪意を持って、彼女に取りつかれているなって思い、ゾッとしました。
しかしそんなモノが見えている事なんて言える筈も無く、例え言っても自分がおかしい人間だと思われてしまう事は明白でした。
結局、何も悪霊に取り憑かれている事を告げることが出来ず、そのまま見過ごしてしまった事に罪悪感を覚えてしまう泪。でもこれは仕方が無い事でした。
何よりも自分には関係の無い事だと割り切っていた筈でしたが、その日を境にして、泪は悪霊と関わっていく事になってしまいます。
翌日・・・悪霊に取りつかれた女子高生が何者かに殺されてしまうのです。それを知った泪は、「女子高生の死は、悪霊によってもたらされてしまったのではないか」と考えてしまいます。
自分には何も出来ないと、恐怖に震えるしか出来なかった泪でしたが、幼なじみの高岡まどかに悪霊が取りついている事を目撃してしまいます。
いやーーー、やめてマジで。まどかが死んじゃう‼
まどかを救う為に悪霊と対峙する事を決意をする泪は、はたしてまどかを救う事が出来るのでしょうか?
「生者の行進」におけるルイの能力
この作品中における泪の能力は、霊視能力とも言えます。霊を見る事の出来る能力、つまり死んだ人間の魂を肉眼で目視できるという、いわゆる異能です。
泪がなぜこのような力が持てたのかは明確にはされてはいませんが、彼は弟を事故で失ってしまい、弟の魂が見え始めてから、霊を確認する事が出来る様になったのです。
ただこの能力はあくまでも霊を見る事が可能であり、また霊の意識があれば喋ることも可能でありと、中々に制約されている能力でもあります。
また悪霊などの類いも見えるみたいで、それが人に災いを起こす過程なども確認する事が可能となり、事前に事件を防ぐ事ともなります。
最初、彼は弟のトモキと話す事が出来ず、霊との会話は不可能と思っていました。
しかし殺された女子高生の霊と会話をした事から、彼は霊と向き合う事を決めていき、自分が何故に霊が見え、そして話す事が出来るのかと、自分の能力に向き合います。
そしてまどかを救う為にと、彼女に取り憑いた悪霊の正体を突き止めていく事を決意していきます。
「生者の行進」まどかの運命は?
まどかは泪の幼馴染みであり、かつては凄く太っていた女性版ジャイアンの様な存在でした。
しかし内面はすっごく乙女チックな少女でもあり、泪といつか結ばれたいと願う少女でもあったのです。
当時においては悪口を言われたらすぐにやり返してしまう性格が災いし、他人に距離をおかれていましたが、自分を友達として見てくれる泪に想いを寄せていた彼女。
泪に「痩せれば綺麗になれる」と言われ、自分自身を磨くために今のギャル的な容姿になるも、泪にはその気持ちが気づかれていない可哀想なヒロインです。
かわいいんだけど、ちょっとかわいそうなまどか。その上、悪霊に取りつかれるって、どれだけですかorz。
あまつさえに悪霊に取り憑かれてしまうなど、受難な目にあってしまうも、泪と結ばれるのでしょうか?
…っていうか、まずは助かってほしいです。
「生者の行進」におけるトモキの存在
トモキは泪の弟であり、作中では常に泪の傍にいる存在です。しかし彼は何も話さず、また何も語らりません。空虚な存在として泪の傍に居続けています。
最初は泪も話しかけてはいましたが、会話をする事が出来ず、意思疎通が出来ないために、「霊とは話せない」と感じるようになります。
他の霊とは会話が出来るのに、何故かトモキと話す事が出来ないのか?それが物語の根幹に大きく関わっていく重要な部分ともなっていきます。
泪にとって救えなかった弟の存在は、やがて彼の成長を大きく助ける存在となっていきます。
「生者の行進」の感想
今作品は霊が見えてしまう主人公をテーマに描かれていく心の再生と成長を描いている作品となります。
この作品の主人公となる泪は、幼い頃に弟のトモキを失った喪失感を抱いており、弟を救えなかった事を悔いて生きている描写から始まっていきます。
物語を通して弟の死と向き合いながら、成長していく泪は、なぜか霊が見えるようになります。それだけではありません。「霊は自分に何を語りかけているのか?」と、向き合う強さも持ち始めていくのです。
まどかを救う為に悪霊の存在と対立する彼の姿は、まさに生と死に向き合っています。
「生きる事とは何か?」「死ぬ事とは何か?」と、定番のような言葉の意味を再確認するほか、死の喪失感なども深く掘り下げている部分にも注目です。
悪霊と戦う主人公の異能バトルではなく、見えてしまうがゆえに、自分が成せるべき事を見出そうとする少年の物語となります。
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