「はざまのコドモ」のあらすじネタバレ。現在はどうなっているの?

知的ボーダーという言葉をご存知でしょうか?私がこの言葉を知ったのは、今回紹介する漫画がきっかけです。

漫画の正式なタイトルは、「はざまのコドモ 息子は知的ボーダーで発達障害児」

発達障害の診断を受けたけど、知的障害はない。健常児とも障害児とも言えない。そんな「はざまのコドモ」について描かれたこの漫画は、君影草さんという方の実話が元になっています。

君影草さんの実話が原作。それがはざまのコドモ

君影草さんは、漫画家沖田×華さんのアシスタントさんです。この漫画は、君さんの息子さん・ヨシくんのお話を元に描かれました。

今でこそ発達障害について知っている人も多いですが、ヨシくんが生まれたのは1996年。その頃は、発達障害や知的ボーダーについての理解がまだ少なかったと思います。加えて、知的ボーダーについては、現在もあまり知られていない印象があります。

健常児と障害児のはざまにいる知的ボーダー児。だからタイトルが「はざまのコドモ」なんですね。

はざまのコドモ、ネタバレ(あらすじ)

生まれてから小学校入学まで

君影草さんの息子、ヨシくんは1996年9月11日に生まれました。生後すぐから寝相が悪く、元気に手足を動かしていたヨシくん。君さんはその頃から、「元気がいいな」と思いつつ違和感を持っていました。

生後6か月になっても授乳の時しか静かにならず、あとはずっと泣いているヨシくん。しかも授乳は1日12回。君さんも授乳の時にしか寝られませんでした。

アパートの人から苦情が来たことをきっかけにマンションを購入して引っ越し。これでヨシくんも寝てくれると思いきや、全然寝てくれません。夜、親が寝たら寝るだろうと思って先に寝たら、何とヨシくんはテレビを床に落として2人を起こしてしまうのです。

お母さんのすぐ横にテレビが落ちてきたシーンで、ヨシくんは嬉しそうに笑っていました。でも、もし自分の横にテレビが降ってきたらと思うとちょっと、いやかなり怖かったです。

あまりにも夜寝ないので、ついに病院を受診します。眠くなる作用がある風邪薬が出されましたが、今度は昼間ふらふらになるのです。追い打ちをかけるように、先生は「あなたさあ、そんなに病気にしたいワケ?」と君さんに心ない言葉を投げつけるのでした。

別の病院で睡眠障害であることが分かり光療法という治療を受けますが、それでもヨシくんはよくなりません。

そうこうしている間に、ヨシくんの小学校選びが始まります。家から近い小学校に入学を決め、事前に睡眠障害のことも相談しました。大丈夫ですと言われ、安心して入学しましたが、1か月後に学校から電話がかかってきました。

小学校に入って

実はヨシくん、玄関や廊下で寝ていたり、授業中教室で朝ごはんを食べたり、勝手に教室を出て保健室に行っていたのです。

1学期の終わり、ついに教頭先生から呼び出されました。「障害児なのを隠して入学させたな、ウチの学校の名前にキズがつくだろ」と教頭先生は激怒します。その上学校から出ていけとまで言い出す始末。読んでいて心底腹が立ちました。一方的に怒鳴ることに加えて、出ていけなんてひどすぎです。

学年主任や担任の先生には、発達障害を疑われます。実は君さん自身も同じことを思っていて、すでに病院で検査を受けていたのです。でもどこにいっても「様子をみましょう」といった答えばかりでした。

改めて検査を受けた結果、ヨシくんに発達障害の診断がおりました。そのおかげで2学期になったらヨシくんに補助の先生がつき、通級指導にも通えることになりました。でもそのうち、君さんは他のお母さんから「ヨシくんは症状が軽くていいですね」と言われ、距離を置かれます。

療育手帳が出ない、はざまのコドモ

その後学校から、ヨシくんの療育手帳をとるように勧められた君さん。検査を受けた結果、「手帳の交付は出来ません」と言われました。療育手帳が交付されるのはIQ75以下ですが、ヨシくんは検査の結果IQ85だったのです。そのため知的障害がないと判定されました。

こうしてヨシくんは、健常児と障害児の間、「はざまのコドモ」となりました。

そんな状況下、夫の浮気が分かり、君さん夫婦は離婚。ヨシくんは深く傷つきます。その頃から頭を壁に打ち付ける自傷行為が出てきました。ヨシくん、自分のせいだと思ったんですね。そのシーンは見ていて辛かったです。

追い打ちをかけるように君さんも線維筋痛症という病気になりました。でもヨシくんを守るために頑張っていくのです。

新しい担任とT学園の先生

ところが小学校5年生の時に担任が変わると状況がますます悪化します。ヨシくんの障害を「病院で治して」と言ってきたり、字が読めないからとテストの採点をしてくれなかったり、挙句の果てにヨシくんを無視するのです。そのせいで、一度は落ち着いていた自傷行為が再び出てきてしまいました。

この担任も相当ひどいです。教頭先生と一緒になって君さんを責めるシーンでは、この2人を怒鳴りつけたくなりました。

とどめにヨシくんをT学園(健康に不安がある子どもが通う教育施設)に転校させるように迫るのです。しかもT学園に行くことをおどし文句で使い始めます。思いあまった君さんはT学園に電話。電話口の先生は受け入れ出来ないと答えますが、小学校の対応に激怒。そんな行為は絶対あってはならないと、教育委員会に通報してくれたのです。

君さんは電話口で涙しますが、多分私でも泣くでしょう。本当にいい先生だなと思いました。直接会ってはいないけど、この先生は君さんにとって救いの神だったと感じます。

中学校に入学

時は流れ中学校選びの時期。やはり選択肢がなく追いつめられる君さん。教育委員会の提案により、特別支援学級に通わせたいという嘆願書を出します。それでようやく、ヨシくんは中学校の特別支援学級に通えることになりました。

中学校では先生に恵まれて友達もでき、楽しく過ごすことができました。

はざまのコドモ、その後のお話

コミックスでは、ヨシくんが中学生になったところまで描かれています。はざまのコドモのその後は、君さんのコミックエッセイで見ることができます。ネットで「はざまのセイカツ」と検索してみてください。

私も読んでみましたが、君さんとヨシくんの高校受験エピソードや社会に出るために奮闘している場面、君さんの障害及び障害者への思いなどが丁寧に書かれていています。はざまのコドモを読んだ方にはぜひ読んでほしいです。

まとめ

実話を元にした「はざまのコドモ」障害が軽くても、知的障害がない発達障害でも、生きづらさや苦しさは変わらないのだと思い知らされました。

ちなみに、この漫画を描かれた沖田×華さん自身も発達障害当事者です。個人的な意見ですが、沖田さん自身もこの漫画を描く中で色々思う所があったのではないでしょうか?

1996年に生まれたヨシくんは現在26歳ですね。子どもの頃からたくさん苦しんできたヨシくんですが、今、社会の中で元気に笑顔で過ごしていることを切に願います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました