19番目のカルテとは。「痛みの原因」「治療の主役」ネタバレ。翔太くんの病名は?

「19番目のカルテ 徳重晃の問診」は、富士屋カツヒト先生作・川下剛史先生医療監修による医療マンガです。

現在日本の医療機関には、18の専門分野があります。
そしてその中でも専門性は細かく分かれています。
効率のよい診断ができますが、自分の専門ではない病気の患者さんは
他の診療科につなげることになり、たらいまわしの原因になりかねません。

そこで、日本専門医機構は特定の臓器を専門としない「19番目の専門医」として
総合診療科を設置したのです。

そしてこのマンガのタイトル「19番目のカルテ」は、総合診療科のことを意味しています。

今回はその中から「痛みの名前」と「治療の主役」という2話のネタバレを中心に書いていきます。

19番目のカルテ あらすじ

魚虎総合病院に勤める女医の滝野(たきの)先生は医師になって3年目。
整形外科の医師です。

子どもの頃「何でも治せるお医者さんになりたい」と思っていた滝野先生ですが
でも現実問題、それは無理なことだと気づきます。
現実を知り、自分はどんな医者になりたいのだろうと迷い始めるのです。

そんな時に現れたのが、徳重晃(とくしげあきら)先生。
新設される総合診療科の先生でした。

ある患者さんとの関わりを通して、滝野先生は「臓器ではなく人間そのものを診る」という考えの
徳重先生から学びたいと思い、整形外科から総合診療科へと転科します。
そして彼女は、総合診療科でさまざまな患者さんと出会うことになるのです。

今回は特に印象に残った2つのストーリーのネタバレを紹介します。


19番目のカルテ「痛みの名前」ネタバレ。美容部員・モモさん

美容部員のモモはデパート勤務。

しばらく風邪で仕事を休んでいたが、治ったため仕事に復帰。さっそく休日出勤となっていた。
風邪は治ったのだが、体の節々が痛むのが気がかりだった。

ある日モモは、仕事の帰り道に車と接触しそうになり自転車から落ちてしまった。
それ以降、肩や首の痛みがひどくなってきた。
仕事を早退して整形外科にかかるも、結果は異常なし。
薬を処方されたが、まったく痛みはひかない。
熱もないし、風邪症状もない。なのにひどく痛む。

別の日は手足の痛みがひどかった。
再び仕事を早退しようと上司に申し出るが、「病気じゃないのに何で早退するの?」と
不審がられてしまう。

その後も病院を転々とするが、痛みはよくならない。

そこでモモは、魚虎総合病院の神経内科を受診した。
しかしそこでも異常は見当たらなかった。
精神的なものではと言われ、モモは逆上する。

先生も私が嘘をついてるって言うんですか…

あなたたちお医者さんですよね!?
なんのために予約とって…休みを使って来ていると思っているんですか!?
これ以上…どうすればいいって言うんですか!?

その様子を見た医師は、モモを総合診療科に案内する。

徳重が問診にあたった。
丁寧に状況を聞き取る徳重。

モモの状況を聞いていた滝野は、彼女の大変さを想像して思わず涙ぐむ。

そして徳重の問診が終わった。
モモは徳重に、「異常はなかったかもしれないけれど、話を聞いてもらっただけで
少し楽になった」とお礼を言う。

しかし徳重は、モモの痛みの原因が「線維筋痛症」という病気の可能性があると説明した。
線維筋痛症は痛みが出た部位を検査しても異常が出ない病気だ。
そのため徳重は、圧痛点の確認と問診を丁寧に行っていたのだ。

モモは病名がついたことで、ようやく安心できた。
「診断がつかないこと」がこんなにも苦しいことだと、滝野は初めて実感する。
その後モモは膠原病科につながり、治療につながった。


19番目のカルテ「治療の主役」ネタバレ。翔太くんとお母さん

ある日の魚虎総合病院受付。

翔太という少年と母親が小児科外来を受診しにきた。
既に小児科外来の受付時間は終了していたが、すぐに診てほしいを母親が訴え続ける。

そのため急きょ、総合診療科の徳重と滝野が翔太を診察することになった。

両方の膝から下にかけて紫斑(内出血)が広がっており、触ると痛みがあった。
母親によると、翔太は2週間前に風邪をひき、受診前夜は腹痛を訴えていたという。
しかし、紫斑は初めて出たようだ。

診察の結果は、IgA血管炎だった。
何らかの原因で免疫異常を起こしているが、自然に治ることが多く、症状も軽いので
安静にして様子を見ることになった。
徳重は母に、3日後再度受診をするように伝える。

その後徳重は、翔太についての情報を小児科医の有松に引き継ぐ。
有松は徳重に、外傷の有無を聞いていた。
念のためだが、虐待を疑っていたのだ。

3日後、翔太と母親は病院に来なかった。
徳重と滝野はそのことを心配する。

そしてその3日後、翔太と母親が腹痛と紫斑の悪化で受診してきた。
悪化したのは2日前。
なぜ2日間病院に来なかったのか?滝野は不審に思う。

翔太が点滴を受ける間、徳重が母親と話す。
前回受診してからどのように過ごしていたか、食事の内容を聴き、ステロイドの内服が必要であることを話した。

ステロイドという言葉に、母親の表情が少し曇った。

その様子を見た徳重は母親に質問する。

もしかして…翔太くんと暮らし始めたのは最近のことではないですか?

実は翔太は夫の連れ子で、暮らし始めたのは1年前からだった。
翔太は母がどんなに話しかけても答えるどころか、うなづきもしない。
今でも何を考えているのか分からないのだ。

血のつながりのない人間に出来ることなんてないと母は本音を漏らす。

しかし徳重は、それは医者も同じだという。
医者が出来るのは、治療の道筋を立てるところまで。
治す意思があるかどうかは、あくまでも本人と家族次第。
そして今、翔太のそばにいる家族は母であるあなたであると。

その言葉を聞いて、母が受診遅れの理由を打ち明けた。
ステロイドの副作用が不安だったのだ。
徳重はそのことも丁寧に説明した。

そこで、点滴に行っていた翔太と滝野が戻ってきた。
翔太は点滴が嫌で逃げ回っていた。
そして、「お母さんがいい」と言ってずっと泣いていたのだ。

母子の心が通じた瞬間だった。


19番目のカルテ 感想

一言で言うと、「現実にこんな先生いるのかなあ?」というのが私の率直な感想です。

私も慢性の病気があるため、毎月病院にかかります。
それとは別に急な体調不良で病院受診することもあります。
でも今まで、徳重先生のように丁寧に話を聴いてくれた先生はいませんでした。

私が知っている病院に総合診療科がないからかもしれませんが…。

どの病院にも総合診療科があり、徳重先生みたいな先生がいてくれたら、患者さんの不安も
かなり減るだろうと思いました。
第3話の主人公・モモさんのように。

でも実際は患者さんの数が多く、ゆっくりと話を聴く時間はないのでしょう。
大きな総合病院ならなおさらです。

「臓器ではなく人間を診る」
徳重先生のようなスタンスで治療にあたる先生が増えてくれるといいなあと思いつつ
読んでいました。

まだ読み始めたばかりですが、今後の展開も楽しみです。

19番目のカルテは、2023年3月11日現在、コミックが6巻まで出ています。
医療マンガが好きな方にはおススメの作品です。

19番目のカルテ 徳重晃の問診 (6)

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