「ナースのチカラ~私たちにできること訪問看護物語」は、現役看護師でもある漫画家の広田奈都美さんによる作品です。
タイトル通り、訪問看護師さんたちのお話。
存在は知っているけど、なかなかその仕事の様子を見ることができない。
それが訪問看護師さんではと思います。
私は医療看護系・介護系の漫画も好きなので、今回試しに第1話だけ読んでみました。
一気に引き込まれた作品だったので、こちらでシェアしますね。
「ナースのチカラ~私たちにできること訪問看護物語」第1話あらすじ
45歳の専業主婦・栗田幸代は、脳梗塞で倒れた義母の介護をたった1人で行っていた。家族はいるが、協力してはくれない。もちろん家事も1人で行う。いつも自分は我慢していると思う幸代。
そんな幸代の心の支えは、毎週やってくる訪問看護師・持田の存在だった。持田の姿を見るうちに、自分も看護師になればよかったと思う幸代。それを聞いた持田は、今からでも看護師になれると励ます。
悩む幸代だったが、一大決心し、47歳で看護学校に入学する。娘の真美と同年代である同級生とともに、勉強に励む3年間。
3年後、幸代は50歳で国家試験を受けて、無事合格する。
訪問看護師になりたいと考えた幸代は、持田が勤める訪問看護ステーションへの面接に向かった。
「ナースのチカラ~私たちにできること訪問看護物語」第1話の主な登場人物
栗田幸代(くりたさちよ)
1人で義母の介護をしている専業主婦。義母のところに訪問してくれる看護師の持田に憧れ、45歳で看護師を志す。47歳で看護学校に入学し、50歳で看護師国家試験を受ける。
持田(もちだ)
栗田家に週1回家庭訪問している訪問看護師。いつも幸代をねぎらい、ほめてくれる。幸代に看護師になることをすすめた最初の人物。
栗田真美(くりたまみ)
幸代の長女。介護には非協力的だったが、母が看護師を目指すことについては賛成する。母が看護学校進学後は、家事を協力するようになってきている。
リカ(りか)
幸代の友人。幸代が看護師を目指すことを知り、励ましの言葉を送る。
「ナースのチカラ~私たちにできること訪問看護物語」第1話ネタバレ
第〇〇回看護師国家試験会場。そこに50歳の受験生がいた。周りはみな20歳。彼女は45歳で看護師を志し、47歳で看護学校に入学したのだ。
話は5年前にさかのぼる。
栗田幸代は義母の介護をしていた。2年たっても、夜トイレに起こされることや寒い夜には慣れない。
でも自分しかできる人がいないからやる。と幸代は思っていた。
その上朝5時半には朝食と家族のお弁当を作る。介護と家事で我慢を強いられる日々。
そんな幸代の楽しみは、週1回来てくれる訪問看護師・持田(もちだ)と話すことだった。持田は幸代をほめてくれる上、親身になって相談にものってくれる。
自分のことを「お嫁さん」と呼ばず名前で呼んでくれるのも嬉しいと感じていた。
そんな持田を見て、幸代はふと「私も看護師になればよかった」と思う。持田はさらりと、「専門学校に行って3年でなれますよ」と答える。しかしその時幸代は45歳。持田は「45ならまだ若い。看護師は70歳で現役もいる。60歳で看護大学に入学した人もいる」と伝えた。
その夜、幸代は看護学校のことを調べていた。娘が「おばあちゃんが呼んでるよ」と幸代に声をかける。トイレ介助を娘に頼むが、「お母さんの仕事でしょ」と一蹴された。いつから私の仕事になったのかと幸代は考える。
毎回毎回…生温かくで重たいオムツを替えることは…誰にでもできることじゃない
無料でやってるのに感謝もされずに叱られるのはなぜなんだろう
悩む幸代に持田は、「無料でやるからだ。お金をとりなさい」と告げる。
持田いわく、人は無償のものには感謝しない。今幸代がやっているのも立派な仕事なのに。だからヘルパーや家政婦と言う仕事があるのだとのこと。
そして持田は、幸代に資格をとることをすすめた。ヘルパーではなく、看護師の資格を。
幸代さんは看護師になりたかったんでしょ?と背中を押す持田。でも幸代は、年齢のことや学費のことでためらってしまった。
義母がその会話を聞いていた。義母は幸代に、その間自分の世話を誰がやるのだと言い放つ。何も言えない幸代。
幸代は娘の真美(まみ)に、「お母さんが看護学校に行きたいって言ったらどうする」とたずねた。意外にも真美は「いいんじゃないの、お母さんは自分から何かしようとしないから」と答えた。その言葉に幸代は言葉を失う。
別の日、幸代は友人たちとの飲み会に参加していた。介護は夫に任せての息抜きだ。しかし、義母は抵抗したらしい。友人たちとの会話を楽しむ中で、看護学校に進学したいという思うを話す幸代。一瞬その場が静かになったが、友人のリカは応援してくれた。
帰宅したところ、義母が発熱していた。持田を呼んで看てもらったところ、すぐに救急車を呼ぶよう促される。
義母は肺炎になっており入院。3日後に急変して亡くなった。あまりにもあっけなかった。
後日、持田が訪問にきた。弔問と事務手続きに加えて、幸代のことを気にかけてくれての訪問だった。2年以上介護してきた幸代の心に穴があいていないかと気にしてくれていたのだ。
その言葉を受けて、幸代は自分の思いを打ち明ける。自分のやったことに意味はあるのかと。持田は「意味はある。でもそれは自分で探すもの」と答えた。自分の人生を生きればきっと答えは見つかる。
持田のその言葉が幸代の背中を押してくれた。幸代は、看護学校受験のための勉強を始めた。
勉強に苦戦しているある日、幸代は交通事故の場面に出くわす。その場にいた女性がてきぱきと対応していた。白衣姿の女性を見た幸代は、きっとこの人も看護師だと感じた。
その後も幸代は受験勉強を続ける。誰かを救える強い人になりたいという思いが芽生えていた。時は流れ、看護学校受験の日。幸代は小論文を書いていた。
私は資格をとり自分の尊厳を取り戻したい
無事入学できた幸代に、先生はあの文章が合格の決め手となったと伝える。学生生活はとても大変なものだった。周りはほとんど娘と同年代。そんな中でも授業を毎回真剣に聞く。さまざまな勉強をしていく中で、幸代は今になって義母のことが理解できるようになってきた。
2年後、幸代は看護実習に臨んでいた。年齢のハンデ、体力面のハンデ、それらを含めて実習は大変。そんな中で家族が少しずつ協力的になっていた。なので最後まで頑張ろうと思えた。
時は流れ、幸代は国家試験を受けていた。手は震えていたが、周りの人の励ましを思い出していた。
卒業後、友人の花江から電話が入った。かつて幸代の背中を押してくれたリカが亡くなったのだ。リカの前で幸代は、国家試験の結果が出たらまた会いにくると約束する。
無事国家試験に合格した幸代は、持田が勤めている訪問看護ステーションに応募し面接に向かった。
「ナースのチカラ~私たちにできること訪問看護物語」第1話感想
家族の介護をきっかけに、介護職を目指す人や実際に介護福祉士になった人の話は聞いたことがありますが、看護師になった人のエピソードは聞いたことがなかったので新鮮でした。
それにしても、47歳で看護学校に入学したってすごいですね。そして、自分の子供と同年代の同級生に混じって勉強している、体力的にも大変なのに厳しい実習を乗り越えている幸代さんのことは、同世代として本当に尊敬します。
目的意識が強いから勉強にも実習にもすごく熱心。その姿勢があったから、家族も協力的になったのではないかと私は思っています。
そして看護師の持田さんも、若いのに言葉が深い。そして幸代さんに親身になって寄り添っている。プロの看護師さんだなあって思いました。
無事に看護師となった幸代さんは、訪問看護ステーションの面接にのぞみます。採用されるのかどうか、ドキドキですね。
「ナースのチカラ~私たちにできること訪問看護物語」第1話まとめ
- 看護師国家試験会場。20歳の受験生の中にいたのは50歳の幸代
- 幸代は義母の介護をきっかけに、45歳で看護師になろうと志した
- 厳しい勉強と実習を乗り越え、幸代は無事学校を卒業する。
- 国家試験に合格し晴れて看護師になった幸代は、かつて自分を支えてくれた看護師の持田が勤める訪問看護ステーションに就職希望を出し、面接に向かった。
まず第1話を読んでみましたが、その後も知りたいので、もっともっと読みたいと思いました。私は今回電子書籍で読みましたが、単行本も第5巻まで発売されています。
なので、今度単行本を買いたいなと思いました。介護や医療系の漫画が好きな方にはおススメのお話です。
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