「真綿の檻」登場人物と少しのネタバレ。主人公が離婚しない理由とは?私の考察

「真綿の檻」は、今年に入ってSNS広告でよく見るようになった作品です。
作者は「深夜のダメ恋図鑑」で有名な尾崎衣良さん。でもこの2つは、全く違う作風でした。

古風な家で娘として親に尽くし、結婚すれば妻として夫に尽くす。「家」は女の牢獄なのかーー? 地味で、人に尽くしてばかりに見える榛花の、本当の人生とは…!?

めちゃコミックより引用

ここでは、ネタバレを含めた登場人物紹介と、私なりの考察を書いていきます。

「真綿の檻」登場人物。主人公榛花・夫一広・そして毒親(ネタバレあり)

主人公の清武榛花(きよたけはるか・旧姓宮崎)は、夫の一広(かずひろ)と2人で暮らす、古風な女性。

一広は、家に来客があっても無表情で不愛想。
決して家事を手伝わず、どんな時でも茶の間のソファに座って絶対に動かない。

そんな榛花を気遣ってか、弟の聖司(せいじ)と義妹の紗英(さえ)は、よく姉の家を訪れていた。

榛花は一広に金銭的にも束縛されているようで、弁当を作っても文句を言われる生活だった。

そんなある日。榛花の母・泰枝(やすえ)が足首を骨折する。その間の家事をどうするか?

当然のように、榛花に一任しようとする家族。しかし、そこで一広が動いた。

その間オレのメシはどーなるんですか

一見モラハラ夫のような発言だったが、これは毒親である両親から榛花を守るためだった。

成績優秀だった榛花は、必死に勉強して大学を出た。それに対して聖司は名前を書けば入れるレベルの私大で許された。しかも金銭的援助つき。

そして母は榛花を厳しくしつけ、日々の不満をすべて榛花にぶつけた。
その上聖司のことはかわいがり甘やかした。

榛花と一広は、一見そうとは見えないが、実は強い絆で結ばれた夫婦だったのだ。
実家の台所は冷たい場所だったが、今は温かい台所で榛花は家事をしている。


「真綿の檻」離婚しない理由とは?

「真綿の檻」には、3組の夫婦が登場します。

その中で、主人公の榛花と母・泰枝の「離婚しない理由」が出てきます。
この2人の「離婚しない理由」は、真逆でした。

実は泰枝の方が、苦しい結婚生活だったのです。
嫁いだ先は商店を経営しており、泰枝は義両親と同居でした。
家事・夫の世話・店の切り盛り・そして義父の介護。すべて泰枝にのしかかったのです。

しかし泰枝は「離婚できなかった」のです。それは子どものため。
全てのことを子どものために我慢していました。
そして我慢を重ねて生じたストレスを、榛花にぶつけ続けました。

一方榛花の「離婚しない理由」は、「その必要がない」からでした。
一見不愛想で「モラハラ夫?」と、私も誤解してしまった一広ですが
誰よりも榛花を大事に思い、寄り添っていました。

家族には分からない、榛花だけが知っている一広の優しさ。
読んでいて、とても暖かい気持ちになれました。

だからこそ、2組の夫婦の「離婚しない理由」の違いが切なく苦しかったです。


「真綿の檻」を考察してみた

「真綿の檻」のストーリーは、榛花・一広・聖司・紗英・泰枝、5人の視点で描かれており、それが絶妙に交差しています。

同じ出来事なのに、登場人物の立ち位置によって全然違うエピソードになるので、誰の立場で読むかによって感想が全然違ってくると思います。

私は、榛花の立場で読んでいました。私の母も泰枝に似た人でした。
家事と仕事がのしかかり、いつも余裕がなく、私と姉を怒鳴りつけていた人です。
私が子供のころ、一度は離婚を決意したようですが、結局とどまっていました。

私の母は数年前に亡くなりましたが、正直に言って母は私にとって毒親でした。

私は榛花ほどの家事スキルはなく、今も四苦八苦していますが、そんな私を夫は優しく見守ってくれます。

ただこれは、私たち夫婦に子どもがいないからそう思えただけかもしれません。
もし子供が2人いて、家事と育児に追われたら、私も榛花から泰枝に変わった可能性だってあるのです。

そう思うと、このお話はすべての女性におすすめだと感じます。

あと、とても気になるのが、「なぜ榛花の父視点の話がないのだろう」ということです。
家長として君臨していた父ですが、もしかして家族の誰の心にも父の存在はなかったのだろうか?と、ちょっと怖いことを考えてしまいました。

男性視点の話が加わると、もっと面白いかもと感じました。


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