「ケーキの切れない非行少年たち」あらすじと口コミ、おすすめポイント紹介。この作品が伝えたいこととは

ケーキの切れない非行少年たちは、宮口幸治氏の同名新書の漫画化作品です。
「丸いケーキを三人分に分けられない!? 自身の犯罪と向き合う事の出来ない少年少女の物語」といったところでしょうか。

正直とても重い作品ですが、思うところあり、読んでみました。
あらすじや口コミの他、個人的な感想もチラホラと書いています。

「ケーキの切れない非行少年たち」あらすじ

ここは、栗鹿乃原少年院。知的障害またはその疑いがある非行少年たちが入る少年院である。

精神科医の六麦克彦(ろくむぎかつひこ)は、田町雪人(たまちゆきと)という1人の少年にプリントを手渡し、ある質問をした。「ここにある丸いケーキを3人に分けられるように切ってほしい」プリントには丸いケーキが描かれている。

雪人は鉛筆を持ち、プリントに線を引いていく。彼はケーキに縦3本の線を書いた。
本来ならば三等分をする際には、ベンツのマークの様に切り分ける線を描くはず。しかしそれができない雪人。

皆さんこれできますか?私は正直言って自身がないです。ケーキ三等分してって言われたら、一瞬ためらうと思います。私、空間認知能力がすごく低いんですよ。だからこのような問いはすごく苦手です(すみません。個人的な感想でした)

雪人の知能指数は68。軽度知的障害とされる数字だ。

しかしケーキが切れないのは雪人だけに限らない。ここにいる非行少年たちのほとんどは、ケーキを三等分できないのだった。

六麦は、「何故三等分できないのか?」と疑問に思った。それが彼ら、彼女達の心の中にあるいびつさではないのかと考え、矯正教育にも関わっているのではと感じた。

田町雪人編は、悲しい結末で終わります。
ざっくりネタバレすると、少年院で更生して、出所するんだけど4年後再び罪を犯して逮捕されちゃうんです。
六麦先生はとてもショックを受けました。

非行により他者を傷つけ、犯罪者となってしまった経緯を、自分でも理解できない彼ら、彼女達の心の中には何があるのかと悩んでしまう。

それは他者を理解する事の出来ない以前に、自身すらも理解していない、本人達の心の中に在る問題に向き合う六麦は、道を誤ってしまった若者達を正す事が出来るのか?


「ケーキの切れない非行少年たち」漫画の口コミは?

「非行少年たちの問題行動は何故に引き起こされていくのか」と、社会的な問題に切り込んだ作品とされる今作。

作中では知的障害など、本来ならば漫画では取り上げることの難しい内容を現実的な視点から取り上げており、多くの読者の意見などもあり、様々な口コミが書かれています。

彼らや彼女達は何故に犯罪に走ってしまったのかと、その経緯に共感を持つ人がいました。

また自分の知っている人間に、こういった人間もいたなどの意見もありました。どこか恐ろして、現実感のある非行少年や非行少女の問題行動などがリアルに感じられる作品であるという口コミもありました。

これは空想ではなく、現実にいる人間達を題材にし、社会にはそういう人間も居るのだというリアルズムを教えてくれる作品だとする口コミも多くあったことをお伝えします。


「ケーキの切れない非行少年たち」おすすめポイント

今作のポイントを挙げれば、ホラー作品とは違った怖さでしょう。「身近にいるかもしれない」、罪を犯した未成年者達の問題行動の描写です。

作品中には知的障害、発達障害当事者が出てきますから、一歩間違えたら差別的などとの意見も出てきても不思議ではありません。

しかしこの作品では、「少年や少女は、なぜ非行行動に走ってしまったのか?」ということが第三者の目で淡々と描かれています。

普通ならば理解出来ないであろう問題行動の根底が読者に伝わる様な描写がなされ、文章で羅列された内容とは違い、絵で表現された非行行動が如実に描かれています。

これは同名の新書を漫画化したものですが、

漫画だから伝わるものもあるのかなあと思いました。

本来ならば誰もが目にしたくないだろう非行少年少女の行動原理や理屈理念など、それらが何故におきてしまうのか、また何故におこしてしまうのかと、丁寧に描かれています。

未成熟だからとか、また心の問題などや、障がいゆえのジレンマなどと、簡単にまとめるられない状況。

そんな非行行動に動かざる得ない人生を歩んだ人間達のドラマと言う視点で描かれていく内容に、この作品の大きなポイントがあります。


「ケーキの切れない非行少年たち」が伝えたいこと

この作品は何故に非行行動に出てしまうのかと、未成年となる若者達の犯罪が描かれ、何故にそんな行動をとってしまったのかと、犯罪者となった若者達を主軸に描かれています。

本来ならば主人公によって罰せられ、成敗される筈の立ち位置にいる存在。

しかしこの作品では、犯罪加害者である彼ら彼女達に視点が置かれており、何故にそんな事をしでかしたのかと、犯罪者側の視点から物語は進んでいきます。

人によっては、この作品に嫌悪感を抱くかもしれません。

気持ちが悪いと、正当化されているなどの意見もあるかもしれませんが、現実に知的障害によって罪を犯してしまう若者達がいると知ってもらいたいです。

加害者側から見れば正当な意見かもしれませんが、被害者側から見れば、そんなモノは言い訳だとする意見もあるでしょう。この作品の中には是非は存在しません。言葉を変えると、見る人の視点によって、是非は分かれてくるでしょう。

ただ現実にあるべき問題を見据えての作品となっており、知的障害によって犯罪を起こし、また自身の犯罪と向き合う事の出来ない人間がいる事を知る事が出来ます。

何故にそんな犯罪をしてしまったのかと、知的障害を理由に逃げているだけではないのかと思う方もいるかもしれません。

それだけにこれらの問題は簡単に解決出来る問題でも無ければ、簡単に是非を分ける事の出来る問題でもありません。

普通ならば彼らや彼女達は、自分の罪を認めて、更生に歩んでいく事が望ましいかもしれませんが、この作品にはそんなハッピーエンドはありません。

実際に第1話も悲しい結末でしたからね。

現実にあるのは、それが当人が死ぬまで続き、終わりがないことと、残酷なまでの在り方でしかありません。

この作品では、

  • 知的障害者が犯してしまう罪は、どんなモノなのか?
  • 犯罪に至る人間の心理とは?

ということが描かれています。そしてこれは現実の物語である事が、悲しい現実です。

今度は本作品のもとになった新書を読みたいと思います。新書を読むことで、現実の厳しさがより刺さってくるのではと考えています。

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